従業員が役員を兼ねることはできるか?
株式会社では取締役1人でも会社設立を行うことができますが、取引先への営業体制を強化するために取締役を2人、3人置きたいとか、対外的な信頼関係を強化するために監査役を置きたいという場合もあります。
取締役については、従業員が兼務することができます。いわゆる「使用人兼務役員」がそれにあたります。
法律では、「役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの」(法人税法34条5項)とされています。
ただし、以下の人は「使用人兼務役員」にはなれません。
①代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
②副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
②合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
④取締役(委員会設置会社の取締役に限る。)、会計参与及び監査役並びに監事
⑤非常勤役員
また、監査役については、原則として従業員が兼務することはできません。
会社法では、「監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない」(335条2項)と規定されています。
従業員の地位にある者が監査役に就任することはできるが、その者が監査役として行った監査については無効だとする裁判例もありますので、注意していただく必要があります。
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