同じ会社名(商号)では登記できないか?
「自分ではもう会社名を決めているけど、本当にこの名前で会社が作れるのかな?」という質問をしばしばいただきます。
会社設立にあたっては、事前にしっかりとした調査が必要なことはいうまでもありません。「類似商号の規制」ということを小耳に挟んだことがある人も多いでしょう。
紛らわしい商号を排斥するため、同一市町村で同一の商号・同種の目的について登記することが禁止されていたのが「類似商号の禁止」ですが、規制緩和の流れの中でこの規制はすでに撤廃されています。
ですから現在では、同じ市町村の中であっても、同じ商号で会社設立を行うことができます。ただし、同じ住所で同じ商号を登記することは許されませんので、ビルやマンションの一室で会社を始めたいという場合は注意する必要があります。
また、「パナソニック」や「ソニー」といった有名企業の名前で会社設立をすることはできませんし、同じ市町村の中で同じ商号の会社については登記はできるとはいっても、民事的な損害賠償を請求されるリスクもあります。
会社法では、次のように規定されています。
「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」
「前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」(8条)
また、不正競争防止法では、「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」(4条)と規定されています。
実際に損害賠償を請求されたり、そこまでいかなくてもトラブルに発展することもありますので、会社設立にあたっては十分に注意していただきたいものです。